先にも書きましたとおり、この3連休の後ろの2日間を使って、「SLやまぐち号」に乗ってきました。もっともこれは個人的な旅行ではなく、CS放送(スカパー)で放映されている鉄道番組「みんなの鉄道」の取材の旅行です。番組は10月14日に「鉄道の日スペシャル」として放映されますので、是非、ご覧ください。「みんなの鉄道」も、お陰様で、10年以上放映が続けられている長寿番組となりました。その理由は、この番組の取材の方針が、無理に驚いたり、怒ったりするようなことはなく、現場の姿をありのままに伝えてきたことにあるのかなと思っています。ディレクターの方々も、鉄道について学び、その魅力を理解した上で番組作りをしていますので、私たち「鉄道が好きな人間」が見ても、まったく違和感がない。芸能人が出てきて、大げさな身振りで喜んで見せるようなことは、まったくありません。地味な作りではあるかもしれませんが(笑)、その確実さは、見る人が見ればすぐに解る。もし、気動車を電車と呼ぶような原稿が上がってきても、すぐに赤が入いります。

 さて、報告したいことは色々あるのですが、まずは9月2日から運転が開始された新しい「SLやまぐち号」用の客車の写真を2点アップしましょう。これまで、この列車の客車には12系客車改造の専用客車が使用されてきましたが、この車両も交替期を迎えたことから、今回新たに35系客車を名乗る5両編成が、新潟トランシスによって新製されました。

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 写真は、編成中1号車に連結されるオロテ35形。展望車マイテ49形を参考にして製作されたというグリーン車の展望車です。編成中、この車両だけがダブルルーフを採用しており、これはもちろん、実用面ではなく、旧型客車のイメージを追って採用されたという意匠ですが、アナウンスされているオハ31系のばかりでなく、客車特急として運転されていた「はと」「つばめ」に連結されていたスハニ35のイメージにも近いものになっているように感じます。
 
 編成はもちろん、全車空調完備ですが、屋上に取り付けられたクーラーは目立たないようにデザイン処理され、屋上にはダミーのガーランドベンチレーターも取り付けられています。他の車両も同様に旧型客車(そちらはオハ35系のイメージ)がうまく再現されており、蒸気機関車との違和感がありません。思えば運転が開始された頃の「SLやまぐち号」は、12系客車をそのままの姿で使用しました。もちろん、それは明快な方策であったわけですが、往年の蒸機列車の姿の再現を望む声は多く、その結果として先の改造車が使用されてきた。あるいは静岡県を走る大井川鐡道では、冷房がないことを承知で旧型の客車を用い、新潟県を走る磐越西線の「ばんえつ物語号」では、やはり改造客車が使用されてきた。改造客車は、乗り心地は快適ですが、どうしても機関車との釣り合いが取れず、そこにジレンマがあった。けれども、この新製された客車には、明快な回答があります。冷房や、あるいは水洗式の快適なトイレを装備しながら、しかし、外観はかつての旧型客車を思わせるこの方式は、これからのSL列車のスタンダードとなってゆくかもしれません。

 さて、室内の情景から1枚写真をアップします。3号車ナハ35形の室内にある「SL運転シミュレーター」です。列車内にシミュレーションを持ち込むギミックはこれまでにも例がありますが、このシミュレーターは観光色の強い列車のサービスの一つなのだから、その存在には意義があります。嬉しかったのは、インストラクターを務めていた女性のセリフで、私が「その逆転器は動くのですか?」と聞いたところ、快活に「はい。加減弁と一緒に使用して運転して下さい」という答えが返ってきました。

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 これはインストラクターさんが、ちゃんと勉強をした証で、それだけ真剣にこの列車のサービスが検討されてきたことが解ります。つまり、用意されたハードに見合うソフトが用意されているということです。日本では鉄道に限らず、「ソフトがハードに追いつかない」ことが多く、それが利用者を白けた気持ちにさせることが少なくなかったように感じますが、これであれば大丈夫かなと感じました(この車両には他に「かまたき体験ゲーム」も用意されています)。

 日本の「豪華列車」などでも、若いスタッフがはきはきと、けれどもすぐに「かしこまりました」と返事するスタイルに、私は少し不満を感じていました。アメリカでもヨーロッパでも、あるいは中国でも、列車のサービス担当スタッフは、もう少し、自由な会話を乗客と交わします。時にはジョークが連発されることもあるのがアメリカの長距離列車のスタイルで、けれども日本ではそういうことはまずない。それはマニュアルを作った人間が、実際に鉄道の旅行をしていないことの証であるように、私には感じられるのです。ホテルでは良くても、同じスタイルをそのまま列車に持ち込んで良いとは限らない。そのことを、マニュアル制作担当者が実感していないから、あのような答えばかりが返ってくるのだと、私はそう解釈しています。

 大切なのはハードとソフトのバランスが取れていることです。昨日見た限りでは、新「SL山口号」は合格。これからが楽しみなところです。

 記述が少し長くなりました。すみません。
(少し続きます)



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