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古い時代――だいたい70年代か、80年代の初めまで――の鉄道模型雑誌を読むのが好きだ。
 この時代は今日ほど製品が飽和状態になく、だからモデラー自身が、次に何を作ろうかという課題に嬉しく悩み続けていたし、雑誌自身にも業界を導こうとする力が強かった。
 殊に「ミキスト」「パイプスモーキング」という各誌編集主幹による評論は読み応えがあって、TMSの山崎氏がヨーロッパの鉄道模型を、最後まで「玩具的」と誤解していたのは今もって残念だけれども、それはさし置いても、時に何かを堂々と批判する姿勢は、痛快だ。ある号の「パイプスモーキング」の、「そんな調子では、いつまで経ってもレイアウトなど作れない」という、読者への語りかけ、もっと言えば叱咤、もっと言えば批判なども、これまた痛快で、こういう「質の良い怒り」を提供することも、メディアの重要な役割であることを思い知らされる。その怒りに読者が触発され、賛同したり、反論したり、そうやって、全員の意識が高まってゆくものだとも感じる。
 翻って、別に鉄道模型雑誌を指すことはないが、(自分が携わっているものまで含めて)現在のメディアのなんと、事なかれ主義なことだろう。怒ることも、褒めることもしない。そんな調子だから、読者が育たず、その証拠がSNSの世界の言い合いの、何と不毛なことか。語彙、含蓄がないのに、言葉の数だけはやたらに多い。
 「日本の鉄道模型は、このままではいけない。なぜなら~」こうして続く言葉には、時には同意できないものもあったけれど、刺激されること大だった。
 メディアは、もっと良質の怒りを提供して欲しい。しなければならないと思う。
 自分ももう還暦。さて、あとどれくらい「質良く」怒れるか?いろいろ難しい。 
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