雨に降られ、諸々締切も迫っているので外出もしていないので、また本の話を。「鉄道のての字」もありませんが。
 この本も「名著」と呼ばれている一冊。嵐山光三郎さんが「料理のお稽古」を書いた時に、この本を意識したと、どこかに書いていた気がする。内容はもちろん、料理の指南書であるのだけれど、何度読んでも、また読みたくなるのだから、ただの料理指南ではなく、文芸書でもあるのだろう。何しろ、この人にかかると、夏のソーメンが、あるいは、ただ醤油で2~3時間煮ただけの豚バラ肉が、あるいは、小麦粉でドロリと仕上げた日本風のカレーが、古今東西のあらゆる料理と肩を並べる一皿となってしまうのだから、素晴らしい。
 例えば焼いた牛肉に、ワインをふりかけ、スライスしたレモンとバターを載せて食べるという、その手順が同じであっても、どの言葉を用いてそれを語るかで、想像される味はいかようにも変わってしまう。つまり、書き手にとって、語彙が必須の資質であることは言うまでもないのだが、それと同等かそれ以上に、生き様が大切なのだと、そう思わされてしまうというわけ。
 生き様をすぐに変えることはできないけれど、いろいろな本を読まないと、自分が偉くなってしまっていけない。で、ソーメンを美味しく食べる方法も学べるわけだから、良い本なのであります。

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