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北方謙三風に吉田定食を紹介すると↓

菜飯。そのシンプルな味わいが味覚中枢をもてあそぶ。味噌田楽の濃厚な味わいも、不思議なほど赤だしの味噌汁に似合う。この味覚が生み出されたのはいつのことなのか…。お替わり自由のご飯を、しかし彼は、お替わりしたものか、まだ迷い続けていた。宿で稲荷寿司が待っていたからだ。

池波正太郎風に吉田定食を紹介すると↓

春の柔らかな風に誘われるようにして、池口が豊橋を訪れたのは、連休も終わりの5月9日のことである。

この日。

池口は地下鉄の取材に疲れ切ってい、しかし、名古屋で泊まることはせず、豊橋(昔の吉田宿)まで足を伸ばしたのは、吉田定食を食べなければいけないという約束を果たすためでもあった。宿から定食屋に向かう道すがらには、確かに多くの食べ物屋が並び、そのどの店もが田楽を献立に並べていて、これが豊橋の名物であることがわかる。

「さて、どうしたものか」

池口は、少し考えてからホテルアソシア1階の定食屋に入ったのだった。

開高健風に吉田定食を紹介すると↓

濃厚な味わいの味噌ダレが、絡み合い、染みつき、のしかかり、もたれかかるようにして豆腐田楽の味わいを決定づけている。つまり、それが吉田定食のメインディッシュなのである。フリーライターになって良かったこと、悪かったこと、そのいずれをも指折り数えていると何やら頭の中が曖昧模糊としてくるのだけれど、もしも良いことを挙げるとするのであれば、それはこうして堅気の人が勤め帰りの道を急いでいる時間に、吉田定食に身を委ねていることができるということではあるまいか。付け合わせの野菜の煮物、オカラ、そして茶碗に盛られた菜飯は、まったりとした田楽とは対照的に、ほのかな味わいではあるのだけれど、そこに調和、シンフォニーがあるのである。諸君、吉田定食は帰宅時間のシンフォニーなのだよ。

川本三郎風に吉田定食を紹介すると↓

私が豊橋までやってきたのは、吉田定食を食べたかったから。濃厚な味の田楽と、薄味の菜飯の取り合わせが楽しい。なぜ、吉田定食というのかというと、昔、この地が吉田宿であったことに由来するのだという。これは知らなかった。ビールをもう1本頼む。仲居のおばちゃんの元気なところがいい。豊橋を舞台にした映画「カルメン豊橋に帰る」では、高峰秀子が演じる中学校の女教師が飯田線の中で吉田定食を食べていた(←ここはウソ)」



むう。

こうして書いていると、自分の文章がいちばん情けなくなってくるなあ。しかし筒井康隆さんは「僕はマンネリになったことがないので、まだ自分のものを掴んでいないと言われる」というようなことを書いていたっけ。そうであるべし。

14日は一日外出せず。ネタがないので吉田定食で引っ張る。



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